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■登録日 2024年1月4日  


未来へつなぐ「建築」文化 工学院大学・後藤治理事長

▲後藤治理事長▲静岡新聞・静岡放送東京支社ビル▲新宿ゴールデン街

 「建築」を文化として意識する機会が普段、どれほどあるだろう。能・歌舞伎といった伝統芸能やアニメーション、あるいは和食は日本が誇り、また海外の多くの人が魅力に感じる文化だ。しかし、寺社などの伝統建築はもちろん、戦後の著名建築家の手による名建築や、日々私たちが目にする町並みも日常生活を構成する貴重な文化ではないだろうか。文化庁の有識者会議で座長を務め、建築文化の振興を提言した後藤治工学院大学理事長に思いを聞いた。

 ―文化庁の有識者会議が「建築文化」の振興へ立法措置を提言する報告書をまとめた。

 「もともと、文化芸術基本法に建築に関する視点が抜け落ちているという認識があった。建築が文化と見られていないというよりも、他の芸術とは扱いが違う。ならば基本法に『建築』を追加するよりも、単独の法律を作るくらいの意気込みで取り組もうということになった。今後は何を法律事項とすべきか、さらなる整理が必要になるものと思う」

 ―主要な論点は何か。

 「一つは、著名な建築家による近現代建築が(開発などで)失われているという点だ。もう一つは、伝統的建造物を対象とした『町並み保存地区』には該当しないものの、市民から大事にしたいと思われるような、新宿のゴールデン街をはじめとした『界隈性』をいかに保護するか」

 ―建築文化の担い手の育成も大きな課題だ。

 「例えばフランスには歴史的建造物の修復専門の学校があり、そこを卒業しないと歴史的建造物の設計には携われない、かなり厳しい仕組みになっている。一方、日本では、各地の建築士会が育成しているヘリテージマネージャーのような仕組みもある」

■自治体を後押しする仕組みを

 ―地域の名建築、町並みをどのように保全すべきか。

 「前向きな自治体を後押しするような仕組みが有効ではないだろうか。例えば国土交通省は、古民家再生などの取り組みに対し、建築基準法の適用を除外するための条例整備を後押しするガイドラインを整備している」

 「金沢市の『こまちなみ保存条例』や京都市の京町家の認定など、独自制度を工夫している自治体は少なくない。そうした取り組みを、建築文化振興の名の下に応援できる仕組みを作れればいい」

 「近現代の名建築が失われているというのも、大事にされていないわけではなく、保全を応援する仕組みがないことが大きいのではないか。コンパクトシティーを推進する流れの中で、公共施設の統廃合を補助する仕組みが整い、結果として解体が進んだ面はあるかもしれない。だからこそ、名建築を残したい自治体が使いやすい仕組みがあればいい。法律だけでなく、自治体の条例と連動することが重要だ」

 ―規制的な仕組みを導入するハードルは高い。

 「米国などでは、規制ではなくアセスメント的な手法を活用している。一定面積以上を開発する際、地域の歴史や文化への配慮の表明を求め、それに対して市民が意見を言える仕組みだ。規制ではなく、事業者が『こういうふうにしたい』という提案を行う。歴史的建築に手を入れるとしても、どう変え、どう保全するかを示す」

 「市民に意見を求める形式が日本に向いているかは、議論もあるかもしれない。英国では、商工会議所や町並み保存団体、建築家団体など地域ごとの『プランニングオーソリティー』がこうした意見表明を担っていて、同一制度であっても自治体ごとに運用が大きく異なる」

■手を加えることで価値を増す

 ―自治体財政も厳しい。手立てはないだろうか。

 「欧米ではナショナルトラストのように、法人が(建築などを)いったん引き受けて、サブリースを行う例もある。自治体が一時的に引き受けたものを、徐々に民間に返してもいい。官民がともに取り組む事例は多くある」

 「建築を所有し、管理し、利用する担い手をどう確保するか、真剣に考えないといけない。スクラップ・アンド・ビルドの開発手法は確立しているが、縮小更新しつつ必要なものを残していくようなやり方も大事なはずだ」

 ―建築や町並みをそのままに保つのが難しい場面もある。

 「近現代の名建築を保全する際に国際コンペを開くような、そんな試みがあってもいい。『建築家の作品だからオリジナルのデザインで残す』というだけでなく、新しく手を加えることで価値を増すという考え方だ」

 「そういう取り組みをやりやすくする仕組みができればいい。モデル的な取り組みを国が実施し、やる気のある自治体を応援するのはどうか」

 ―建設業界は建築文化に対してどう貢献できるのか。

 「一つは、いかに伝統技術を取り入れるかだ。左官や軸組木造というだけでなく、家具なども含めた生活文化全体を意識する必要がある」

 「建築生産は、地域経済を循環させるエンジンの役割を果たす。『衣食住』のうち食の分野では地産地消が浸透してきているが、次は住だと考えている。家造りを大量生産から、地産地消に戻していくことが大事なのではないか」


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