日本空調衛生工事業協会(日空衛、藤澤一郎会長)は2024年度事業計画案で、空調設備工事業の中期ビジョン「日空衛2025」を策定するとした。空調衛生工事業の認知度を高めるビジョンをまとめ、24年度中に公表する。現場の4週8閉所の実現と定着、適正工期の確保にも引き続き取り組む。 事業計画では、国内の空調衛生工事について、人手不足の深刻化と大都市の民間需要に支えられ、「非常にタイトな需給状況が続いている」と分析。その一方で、工事費の上昇により、設備投資を先送りする企業もあり、「先行きの不透明感がぬぐいきれない」と懸念している。 こうした現状を踏まえ、24年度の事業計画案では、九つの重点方針を定め、会員が一丸となって取り組む考えを示した。長時間労働の是正、休日の確保に向けては、現場の4週8閉所の実現・定着や適正工期の確保に加え、BIMを活用して現場の生産性を向上させる。 この他、価格変動リスクや工期設定などの課題に対応するため、建設業法改正など行政の動きを踏まえて契約関係を構築する。■CCUS推進方策、就業履歴登録1.5倍に 日本空調衛生工事業協会は4月17日に開いた理事会で、建設キャリアアップシステム(CCUS)の2024年度の推進方策を決定した。会員企業と協力会社の事業者・技能者登録が進んだことから、24年度は就業履歴登録数のみの目標を設定。現在の1.5倍に当たる年間110万件の登録を目標とし、契約金額1億円以上の元請けの現場は原則として登録するよう求める。 CCUSは、技能者登録数が140万4843人、事業者登録数が25万8895人(いずれも3月末時点)となり、日空衛の会員企業の間でも登録が進んだ。このため、24年度は就業履歴登録数のみの目標を設定し、技能者の就業履歴の蓄積を推進する。 就業履歴登録数の目標は2月末時点の65万9096件の1.5倍に当たる110万件に設定。会員企業が元請けとなる現場(契約額1億円以上)では、CCUSに現場登録し、カードリーダーを設置するよう促す。就業履歴の蓄積のない会員企業に対しては、建設業振興基金に協力を求め、「CCUSサテライト説明会」を開催してもらう。 厚生労働省の「建設キャリアアップシステム登録促進事業」を利用し、事業者登録料・技能者登録料などの補助を受けた会員企業には、引き続き日空衛も対象経費を補助し、登録料の負担を軽減する。 会員企業や協力会社の事業者登録の更新も後押しする。更新期限を迎えた会員には更新手続きの実施状況をフォローする他、協力会社にも登録を更新してもらえるよう、協力会社の更新状況リストを掲示する。