国土交通省は、高速道路の暫定2車線区間の正面衝突事故防止対策を、2023年度以降に長大橋やトンネル部にも拡大する。21年度から行ってきた実証実験の結果を有識者委員会に諮った上で、段階的に試行実施していく。 暫定2車線区間の正面衝突事故防止対策は、中小橋と土工部で先行している。本年度末までに概ね完了する見通し。引き続き、長大橋とトンネル部に対策を広げる。中小橋と土工部では2車線間にワイヤーロープを設置してきた。一方、長大橋とトンネル部は、2車線間に排水溝があるなど、構造上の特性からワイヤーロープを設置できないケースが多い。 国交省は21年10月から、鉄筋コンクリート製の壁部材や丸型鋼管のパイプなど、ワイヤーロープ以外の逸脱防止技術が使えるか導入効果を確かめるため、全国6カ所で実証実験を実施した。現在、実験を終え、衝突した際の車両はみだし量や、設置に必要なスペース、既存の構造物を傷めないかといった視点から検証結果をまとめている。 12月上~中旬に有識者委員会(高速道路の正面衝突事故防止対策に関する技術検討委員会)を開き検証結果を諮る。 高速道路の暫定2車線区間の死亡事故率は、4車線以上の区間の約2倍に上るとされる。暫定2車線区間は約2500㌔。このうち長大橋が約250㌔、トンネル部が約270㌔となっている。