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■登録日 2024年1月4日  


若者に選ばれる建設業に 和田信貴国土交通事務次官

▲和田信貴事務次官

 建設業への時間外労働の上限規制適用まで3カ月となった。今年は週休2日の定着や長時間労働の是正など、働き方改革に関わる取り組みの真価が問われる一年となる。デジタル技術の活用などで現場の生産性向上や省人化が進む。とはいえ、次代の担い手確保が最重要課題であることに変わりない。若者に興味を抱いてもらえる、魅力ある産業となるために、建設業界と行政が一丸となって、働き方改革の質を引き上げなければならない。「持続可能な建設業の実現に向け、しっかり取り組む」と言う和田信貴国土交通事務次官に、2024年を展望してもらい、国土強靱(きょうじん)化、DX・GX推進について果たすべき役割と抱負を聞いた。
 
◇現場の労働時間削減へモデル事業実施

 ―4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されます。国としてどのような取り組みを進めますか。

 「長時間労働を前提としない適正な工期を確保することが重要です。そこで直轄工事では原則全ての工事で週休2日を確保するよう設定しました。地方自治体では工期確保が十分でない団体も見受けられ、これからも働きかけを徹底していきます。民間発注者には実地調査に基づき、工期の適正化を働きかける必要もあるでしょう」

 「建設現場での労働時間削減に向けた取り組みを促進するためのモデル事業も実施します。例えば、ITツールを活用して工程を調整する取り組みを支援します。また、(すでに規制のある発注者に加え)受注者による『著しく短い工期の禁止』など、必要な制度改正にも取り組んでいかなければなりません。いずれにせよ、若い人たちに選ばれる、持続可能な建設業の実現に向け、これらの取り組みを着実に推進します」

◇災害に屈しない国土づくりを

 ―地球温暖化に伴う気候変動による影響への対応も待ったなしです。

 「昨年も全国各地で豪雨災害がありました。しかし、国土強靱化5か年加速化対策などで実施した河道掘削などの事前防災対策や、全国のダムでの事前放流を含む洪水調節により、多くの河川で大規模な浸水被害を食い止めました。例えば奈良県の大和川流域では、23年6月の大雨で、17年の災害と同規模の降雨があったにもかかわらず、浸水家屋の被害は8割軽減されました。引き続き着実かつ計画的に流域治水対策など国土強靱化に取り組みます」

 ―先の通常国会で『国土強靱化実施中期計画』が法定化されました。

 「これにより5か年加速化対策後も、継続的・安定的に切れ目なく国土強靱化の取り組みを進めることが可能となりました。実施中期計画の策定に向けて、これまでの施策の実施状況を調査するなど社会資本整備による災害に屈しない国土づくりを推進していきます」

◇労務費の目安を示し、賃金原資を確保

 ―社会資本整備を継続的かつ安定的に実施するためには、担い手の確保・育成の取り組みが急がれます。

 「建設業が持続可能であるためには、技能者の賃金が、優れた技能や厳しい労働環境にふさわしい水準に引き上げられることが重要です。現在、次年度から適用する『公共工事設計労務単価』の改定に向け、公共事業労務費調査を集計しています。その中で、昨今の物価高騰を受けた賃金実態を把握するため、インフレ手当も調査しており、引き続き、技能者の賃金上昇が次なる設計労務単価の上昇につながる好循環を持続させていかなければなりません」

 「技能者へ支払われる賃金の原資が、発注者から元請け、下請けの専門工事業者まで適切に支払われるよう、制度的に対応することも必要です。国が適正な労務費の目安をあらかじめ示した上で、個々の工事において、これに沿った積算見積もりや下請契約が行われるよう、強く促す新たな仕組みを構築していきます」

 ―外国人材の活用も不可欠でしょう。

 「1号特定技能評価試験に加え、この1月から2号評価試験を開始します。技能実習制度に代わる新制度の検討の動きも踏まえつつ、関係省庁や建設業界と連携し、受け入れ環境の整備を進めます」

 「若者や子供たちに向けて、建設業が『地域の守り手』としてかけがえのない存在であることを発信することも重要です。国交省としても建設業への理解促進や業界のイメージ向上に向けて関係団体と連携していくとともに、建設業の担い手確保と育成で顕著な功績を挙げている企業を表彰していきます」

 「建設業が新4K『給与がよく、休暇が取れ、希望が持て、かっこいい』に象徴される、魅力的な産業となるように業界と連携し、さまざまな取り組みを着実に進めます」

◇CCUS普及へ処遇改善に取り組む

 ―建設キャリアアップシステム(CCUS)の課題はどうですか。

 「官民が連携してCCUSの普及拡大に取り組んだ結果、現在約130万人の技能者、約24万者の事業者が登録しています。さらに浸透させるためには、地方の中小建設業者を中心に登録の裾野を広げるとともに、日々の就業履歴の蓄積やレベル別能力評価を技能者の処遇改善につなげるための取り組みを充実させなければなりません」

 「地方自治体が発注するモデル工事や総合評価加点といったインセンティブの導入を働きかけるとともに、費用面や手続きの負担軽減に取り組みます。また、能力評価に応じた手当の拡大、昨年6月に公表したレベル別年収の普及、併せてCCUSを活用した処遇改善の前提となる原資を確保するため、ダンピング受注対策や労務費行き渡り対策にも力を入れていきます」

◇価格転嫁を進め、必要な事業量確保

 ―資材価格や労務費の高騰が続いており、社会資本整備への影響も心配です。

 「骨太の方針や総合経済対策でも、現下の資材価格の高騰などを踏まえ、適切な価格転嫁が進むよう、必要な事業量を確保することが位置付けられました。これを受け、23年度補正予算では約1.77兆円という十分な規模の公共事業関係費を確保しました。今後とも『必要な事業量を確保する』という認識を政府と共有していきます」

 ―DX・GXについてはどのように取り組みますか。

 「DXでは、ICT施工のための基準類を毎年度拡充しています。直轄では、ICT施工の実施率が22年度に約9割(87%)となりました。一方、地方自治体の発注工事では、実施件数が増加しているものの、実施率は2割程度にとどまっています。地方自治体での取り組み強化と小規模工事を担う中小建設業への普及が課題です。BIM/CIMは直轄土木工事で原則適用しており、取り組みをフォローアップしていきます。建築BIMは支援対象を拡充します」

 「建設施工分野での脱炭素化のためのGX建設機械の普及促進や、民間による緑地確保の取り組みを認定するといったことにも注力していきます」

 ―24年が始まりました。建設業界への期待をお聞かせください。

 「働き方など従来の対応を変える時は誰でも不安になると思います。建設業が持続可能な産業となるために、建設業法改正など制度的な対応にしっかり取り組んでいきますので、業界の皆さまも一緒に前進してほしい」


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