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■登録日 2015年1月19日  


〜2015年 私はこう見る〜土木技術者女性の会/桑野玲子会長

誰もが働きやすい環境づくりを

▲桑野玲子会長

 女性だけでなく、男性、外国人、全ての人が働きやすい職場の環境づくりにどう取り組むかは建設業界全体で考えなければならない大きな課題だ。昨今、建設業界の中でも女性の技術者は「ドボジョ」や「けんせつ小町」などの愛称で呼ばれ、注目を集めるようになった。一方で、活躍する女性技術者の中には、身近に女性が少ないがゆえに、結婚や出産といった女性のライフイベントを見越したキャリア形成を描きづらく、悩みを抱える人も多い。労働環境を見ると、女性が安心して長い期間働き続けられる職場が多いとは必ずしも言えない。建設業界における女性の地位向上や、働きやすい環境づくりに取り組む「土木技術者女性の会」で会長を務める桑野玲子氏に、建設現場で働く女性を取り巻く現状や、組織の在り方を聞いた。

■ワークライフバランスは男女共通の課題

 ――会ではどんな活動をされているのですか。

 「発足当初は、全国各地で孤軍奮闘する女性技術者同士の情報交換が中心でした。最近では、学生向けのキャリアセミナーなど対外的な活動も増えています。仲間を増やすには、若い世代に土木の魅力を伝えていくことが求められているからです」

 「学生たちの意識は確実に変わってきています。以前は、大学の土木工学科では女子学生が稀少な存在でした。それが今では、女子学生は1割程度で、高等専門学校だと生徒の3割程度が女性のようです。本人たちにとっても、狃性が少ない特殊な環境で土木を学んでいる瓩箸いΠ媼韻呂曚箸鵑匹覆い隼廚い泙后

 ――むしろ、男性のほうが意識しすぎている部分があるのかもしれません。

 「社会人になると、女性の比率が大幅に減ってしまいます。女性に限らず、長時間労働や転勤が多いといったイメージが、建設業界への入職を躊躇(ちゅうちょ)させている一因かもしれません。もちろん仕事内容そのものに魅力を感じて取り組んでいる人もいますが、それでもワークライフバランスは重要です。どんなにやりがいがあり楽しい仕事でも、負担が大きすぎて精神的にも肉体的にもすり減ってしまうようだと、狡垢続けていこう瓩箸いΕ皀船戞璽轡腑鵑鯤櫃弔海箸できないからです」

 ――モチベーションの維持には、女性だけでなく男性にも、キャリア形成が必要不可欠な要素になると思いますが。

 「ずっと100%のモチベーションを保ち続けるのは難しいですね。めりはりをつけ、ある業務を達成したら、次の目標へとステップアップできるようなキャリア形成が理想です。そういう環境づくりは、必ずしも女性のためだけでないということを企業の経営者層にも認識していただかなければならないと思います」

■スーパーウーマンでなくても活躍できる

 ――女性技術者を取り巻く課題や悩みにはどういったことがありますか。

 「以前に比べると、狃性だから〜ができない瓩箸、狃性だから〜をやらせない瓩覆鼻∈絞姪に能力を否定されるような風潮はほとんどないと感じています。これは良い傾向です」

 「以前は女性技術者が超少数派だったため、女性を支援するような制度は整っていなかったし、良くも悪くも特別扱いされてしまう。そのような環境の中で活躍していこうと思ったら、私生活を犠牲にして人一倍働く『スーパーウーマン』でないと無理だったのかもしれません。しかし、女性の社会進出が目覚ましい現在では、スーパーウーマンでなくても、男性と同様に努力を積み重ね、業務のスキルを上げていけば、活躍できる場を見付けられるようになってきています。女性が男性と同じように、戦力として認められてきたことの表れだと認識しています」

 「女性技術者を取り巻く環境や意識は改善されつつあります。しかしながら、男性に対して、犹劼匹發いて制約があるから同じように働けない瓩箸い辰診困澆鯤えている女性がいることは事実です。同じ組織、職場の中で女性が少なければ、『女性ならでは』の相談ができません。そこで土木技術者女性の会のように、ロールモデルがたくさんいる組織が役に立てるのではないでしょうか」

■多様性が組織を強くする

 ――女性技術者の活用を含め、組織のダイバーシティ(多様性)を推進することの意義をどう考えますか。

 「ダイバーシティという考え方は、まだそれほど世の中に浸透しているわけではありません。『男女共同参画』はその一部でしかないのです。組織にとってのダイバーシティとは、女性や外国人など、異なった立場や考え方を持つ人が同じ目的に向かい、行動を共にし、お互いを理解し合うことです。短期的にみると、組織を運営していく上で、違う考え方を受け入れるための環境づくりに苦労したり、意見を集約する際に遠回りする局面があるかもしれません。しかし、長期的にみれば、従来の発想の枠にとどまらない成果が生まれることもあるはずです」

 「育児休暇の取得を例に挙げると、一時的に職場の戦力が欠けるので、組織の業務効率は落ちるだろうと思いがちです。しかし、育児休暇を取得する本人は、不在中の仕事を他の社員が対応しやすいよう事前に整理したり、職場復帰した後も、業務時間内に終わるよう効率化を図ろうとする。結局、他の社員への伝達や、情報の整理に気を配るようになるという犖用瓩眄犬泙譴襪錣韻任后

 「そうすると、周りの社員も、他の社員の業務に気を配るようになる。結果、一人一人の社員の対応力がアップし、想定外の問題にも対処できる靭性の高い、柔軟な組織に成熟していくことになります」

 「長期的に見れば、多様性を受け入れることは、休暇を取得する本人だけでなく、他の社員のスキル向上など波及効果が大きいのです」

 ――育児だけでなく、転勤や異動での業務の引き継ぎでも同じことがいえます。

 「さまざまな立場、考え方がある組織の中に身を置くことで、仕事に必要な想像力が養われますね」

 「日々の業務に追われていると、長期的な視野で組織の在り方を考える機会が少なくなってしまいます。他の環境に身を置く人を受け入れたり、一時的に他の社員をフォローしたりする事態は自らにも起こり得ます。個人においても組織においても、ダイバーシティの発想がいまこそ、求められているのです」

【略歴】1988年3月東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修士課程修了、89年4月大成建設土木本部設計部入社、94年ロンドン大学インペリアルカレッジに客員研究員として派遣、2009年土木技術者女性の会会長に就任、13年から東京大学生産技術研究所教授

◇土木技術者女性の会とは◇

 土木界で女性技術者が珍しかった1982年に、全国各地の女性技術者同士の情報交換の場として発足。最初の会員は約30人。32周年を迎えた14年には、会員数が205人にまで増えた。
 活動の目的は‥斂擽罰Δ覇く女性の励まし合い土木界で働く女性の知識向上女性にとって魅力のある、働きやすい土木の環境づくりそ性土木技術者の社会的評価の向上サ蚕兌圓鯡椹悗構性へのアドバイス―の5項目。女性技術者同士のネットワーク形成のほか、土木界の使命と意義を広める活動を進めている。


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